パソコンでの作業中、「なんとなく手首がだるい」「長時間タイピングしていると手が痛くなる」と感じたことはありませんか?その原因は、デスクとキーボードの間に生じる「段差」による手首への負担かもしれません。
この記事では、そんな悩みを解決するアイテム「リストレスト」について解説します。なぜ必要なのかという基礎知識から、素材ごとの特徴、失敗しない選び方、そして正しい使い方までを網羅しました。自分に合ったリストレストを見つけて、毎日のデスクワークを少しでも快適にするためのヒントとして活用してください。
リストレスト(パームレスト)とは何か

「リストレスト」とは、キーボードやマウスの手前に置き、手首や手のひらを乗せて使用するクッションや台のことです。製品によっては「パームレスト」と呼ばれることもありますが、基本的には同じ用途のものを指します。まずは、このアイテムがなぜ存在するのか、その役割から見ていきましょう。
パソコン作業における役割と必要性
リストレストの最大の役割は、「デスクと入力機器(キーボード・マウス)の間の段差を埋めること」です。
一般的なキーボードには厚みがあるため、デスク上に手を置くと、手首が反り返った(背屈した)状態になります。この無理な角度が長時間続くと、手首の神経や筋肉に負担がかかり、痛みやしびれの原因となります。リストレストを使って手首の位置を高くすることで、手首を自然な真っ直ぐに近い状態に保つことができ、負担を軽減するのが本来の目的です。
マウス用とキーボード用の違い
リストレストには大きく分けて「キーボード用」と「マウス用」の2種類があります。
- キーボード用:横に細長い形状をしており、両手を乗せてタイピングする際に使います。キーボードの幅(フルサイズやテンキーレスなど)に合わせて選びます。
- マウス用:片手を乗せるだけのコンパクトなサイズです。マウス操作に伴う手首の動きをサポートし、擦れや圧迫を防ぎます。
アームレストとの違いについて
似た名称のアイテムに「アームレスト」がありますが、これは役割が異なります。
- リストレスト:手首(Wrist)や手のひらの付け根を支えるもの。
- アームレスト:肘(Arm)や腕全体を支えるもの。椅子の肘掛けや、デスクの天板に取り付ける拡張台などを指します。
リストレストはあくまで「手元の段差」を解消するためのアイテムだと認識しておきましょう。
リストレストを導入する3つのメリット

なんとなく良さそうに見えるリストレストですが、実際に導入すると具体的にどのような恩恵があるのでしょうか。主なメリットを3つ挙げます。
腱鞘炎対策と手首の疲労軽減
最も大きなメリットは、手首への物理的なストレスが減ることです。手首が反った状態で指を動かすと、腱(けん)が強く擦れ合い、腱鞘炎のリスクが高まると言われています。
リストレストを使用して手首の角度を水平に近づけることで、余計な力が入りにくくなり、長時間の作業でも疲れが蓄積しにくくなります。「夕方になると手首が重い」と感じる方には特に効果的です。
長時間のタイピングでも集中力が続きやすい
身体的な不快感は、知らず知らずのうちに集中力を削ぐ要因になります。肩こりや手首の痛みが気になって作業が中断してしまう経験は誰にでもあるでしょう。
姿勢が安定し、リラックスした状態でタイピングやマウス操作ができるようになると、作業への没入感が維持しやすくなります。環境を整えることは、パフォーマンスの向上にもつながります。
デスクの天板による冷えや摩擦から手首を守る
意外と見落としがちなのが、デスクの天板との接触ストレスです。
- 角(エッジ)の食い込み:デスクの角が手首に当たって痛い、跡がつく。
- 冷え:冬場など、冷たい天板にずっと触れていると手首が冷えて動きが鈍くなる。
- 摩擦:マウス操作で手首の皮膚が擦れて黒ずむ。
リストレストはこれらの物理的な接触から肌を守る「緩衝材」としての役割も果たしてくれます。
素材で変わる!リストレストの種類と特徴

リストレストの使い心地を左右するのが「素材」です。柔らかければ良いというわけではなく、それぞれにメリット・デメリットがあります。代表的な4つの素材を紹介します。
柔らかくフィットする「ジェル・低反発ウレタン」
最もポピュラーなのが、プニプニとした触感のジェル素材や、ゆっくり沈み込む低反発ウレタン素材です。
- 特徴:手首の形状に合わせて変形し、包み込むようにフィットします。体圧分散性に優れています。
- 向いている人:柔らかい感触が好きな人、一点に重みがかかるのを防ぎたい人。
- 注意点:通気性が低いため、夏場は蒸れやすい傾向があります。また、経年劣化で表面が破れたり中身が漏れたりすることがあります。
サラッとして蒸れにくい「メッシュ・ファブリック」
クッションの表面を布地(ファブリック)やメッシュ素材で覆ったタイプです。
- 特徴:通気性が良く、肌触りがサラッとしています。汗をかいてもベタつきにくいのが魅力です。
- 向いている人:手汗が気になる人、さらさらした触り心地を好む人。
- 注意点:布地なので汚れが染み込みやすく、コーヒーなどをこぼすとシミになりやすい点には注意が必要です。
しっかりと手首を支える「木製・ハード素材」
「硬い木の上に乗せて痛くないの?」と思われるかもしれませんが、実は愛用者が多いのが木製やアクリルなどのハード素材です。
- 特徴:沈み込まないため高さが一定に保たれます。手首を滑らせるように移動できるため、広範囲のキー入力を行う際にスムーズです。
- 向いている人:高速タイピングをする人、沈み込みによる蒸れや動きにくさが苦手な人。
- 注意点:クッション性はないため、骨ばった手首の人の場合、長時間使用すると痛みを感じる可能性があります。
形状の変化が少ない「レザー・合皮」
高級感があり、耐久性に優れているのが本革やPUレザー(合皮)を使用したタイプです。中材には硬めのウレタンなどが使われることが多いです。
- 特徴:表面が滑らかで適度な硬さがあり、汚れを拭き取りやすいのが利点です。型崩れしにくく長く使えます。
- 向いている人:デスク周りの見た目にこだわりたい人、手入れを楽にしたい人。
- 注意点:本革の場合は定期的なメンテナンスが必要になることがあります。合皮は加水分解でボロボロになるまでの期間(寿命)があります。
失敗しないリストレストの選び方

「せっかく買ったのに使いにくい」という事態を避けるために、購入前にチェックすべき4つのポイントを解説します。
キーボードやマウスの「高さ」との相性を確認する
最も重要なのが「厚み(高さ)」です。
リストレストの高さは、使用しているキーボードの手前側の高さと同じか、少し低いくらいが理想的です。
- 高すぎる:逆に手首が下向きに折れ曲がってしまい、神経を圧迫します。
- 低すぎる:段差が解消されず、効果が薄れます。
薄型のノートパソコン用なのか、厚みのあるメカニカルキーボード用なのか、自分の環境に合わせて高さを選びましょう。
デスクのスペースに合わせた「サイズ(横幅)」
キーボード用の場合、キーボードの横幅と合わせるのが基本です。
- フルサイズ用(約44cm前後):テンキー付きのキーボードを使用している場合。
- テンキーレス用(約36cm前後):テンキーがないキーボードの場合。
- コンパクト用(約30cm前後):HHKBなどの小型キーボードの場合。
サイズが合っていないと、タイピング中に手がリストレストから落ちてしまい、ストレスの原因になります。
操作中のズレを防ぐ「滑り止め機能」の有無
作業中にリストレスト自体が動いてしまうと非常に不便です。底面にしっかりとした滑り止め加工(ラバー素材や吸着素材など)が施されているか確認しましょう。
特に木製などの軽量な素材や、コンパクトなマウス用リストレストの場合、滑り止めの性能が使いやすさに直結します。
手入れのしやすさと耐久性
手首は意外と汗をかく場所ですし、皮脂汚れも付着します。
- 拭き掃除ができるか:合皮や木製はサッと拭くだけできれいになります。
- 水洗いできるか:一部のシリコン製やジェル製は水洗いが可能です。
- 汚れが目立たないか:濃い色の方が汚れは目立ちにくいですが、白い粉(皮膚の角質)が目立つ場合もあります。
長く清潔に使いたい場合は、手入れの方法も考慮に入れて選びましょう。
リストレストの正しい使い方と注意点

良い製品を手に入れても、使い方が間違っていては効果が得られません。最後に、正しい使い方と注意点をお伝えします。
手首ではなく「手のひらの付け根」を乗せる
「リスト(手首)レスト」という名前ですが、実際には手首の関節部分や柔らかい部分を強く圧迫するのは避けたほうが無難です。
理想的な位置は、手のひらの付け根のあたりを乗せることです。手首の血管や神経が集まっている部分を圧迫せず、骨で支えるイメージで使うと、しびれなどが起きにくくなります。
使うと逆に疲れる?高さ調整の重要性
「リストレストを使ったら逆に肩が凝った、疲れた」という声を聞くことがあります。この原因の多くは「高さが合っていない」ことです。
特に、クッションに厚みがありすぎて手首の位置が高くなりすぎると、常に肩を持ち上げているような状態になり、肩こりを誘発します。違和感がある場合は、少し薄めのものに変えるか、タオルの上などで高さをシミュレーションしてから製品を選び直すことをおすすめします。
一体型マウスパッドという選択肢
マウス用にリストレストを検討している場合、マウスパッドの手前部分が盛り上がってクッションになっている「一体型マウスパッド」も選択肢の一つです。
- メリット:位置がずれず、マウスパッドとリストレストを別々に買う必要がない。
- デメリット:クッションの位置を自由に動かせないため、手の大きさや持ち方によってはフィットしないことがある。
自分のプレイスタイルやデスクの配置に合わせて検討してください。
まとめ:最適なリストレストでデスクワークを快適に
リストレストは、単なる「腕置き」ではなく、デスクとキーボードの段差を埋め、手首を自然な角度に保つための重要なサポーターです。
- 役割:手首の反りを防ぎ、負担を軽減する。
- 素材:柔らかさ重視ならジェル・ウレタン、安定感重視なら木製、蒸れ対策ならメッシュ。
- 選び方:キーボードの「高さ」と「幅」に合わせるのが最重要。
高価なものが必ずしも自分に合うとは限りません。まずは自分のキーボードの高さを測り、好みや悩みに合わせた素材を選ぶことから始めてみてください。たった一つのアイテムが、毎日のデスクワークを驚くほど快適に変えてくれるかもしれません。
