ASUS ProArt GoPro Edition (PX13 | HN7306) 徹底解説|128GBメモリ×Ryzen AI MAX+ 395の実力を検証
ASUSのクリエイター向けブランド「ProArt」から、アクションカメラの代名詞であるGoProとのコラボレーションモデル「ProArt GoPro Edition (PX13 | HN7306)」が登場しました。価格は税込649,800円。正直、最初に見たとき「GoProが付属するのかな?」と思いましたが、GoPro本体は付属しません。それでも、このPCには65万円を出す価値があるのか——スペック・ベンチマーク・実際のユーザーの声を徹底的に調べて検証してみました。
最大の注目ポイントは、AMD Ryzen AI MAX+ 395プロセッサと128GBという規格外のユニファイドメモリ。13.3インチで約1.39kgのコンパクトなボディに、デスクトップPC級の処理能力を詰め込んだ本機は、4K動画編集からローカルLLMの実行まで、ノートPCの常識を覆すポテンシャルを秘めています。ASUSのメーカーとしての特徴や評判についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
基本スペックと製品概要
主要スペック一覧
| 項目 | スペック |
|---|---|
| モデル名 | ProArt GoPro Edition (PX13 | HN7306) HN7306EAC-AI91281W |
| CPU | AMD Ryzen AI MAX+ 395(16コア/32スレッド、最大5.1GHz) |
| GPU | AMD Radeon 8060S(RDNA 3.5 / 40CU)※CPU内蔵 |
| NPU | AMD XDNA 2(最大50 TOPS) |
| メモリ | 128GB LPDDR5X-8000(ユニファイドメモリ) |
| ストレージ | 1TB NVMe SSD(PCIe 4.0 x4) |
| ディスプレイ | 13.3型 3K OLED(2,880×1,800 / 60Hz / DCI-P3 100% / タッチ対応) |
| サイズ・重量 | 298.2×209.9×15.8〜17.7mm / 約1.39kg |
| 端子 | USB4 Type-C×2、USB 3.2 Type-A×1、HDMI 2.1、microSD、3.5mmジャック |
| 通信 | Wi-Fi 7 / Bluetooth 5.4 |
| 堅牢性 | MIL-STD 810H準拠 |
| OS | Windows 11 Home 64bit |
| 価格(税込) | 649,800円 |
GoPro Editionならではの付属品・特典
通常のProArt PX13(64GBメモリモデル)との最大の違いは、メモリが2倍の128GBであることに加えて、GoPro専用の装備が充実している点です。
付属品として、GoProデザインの専用ハードシェルケース(ショルダーベルト付き)、ASUS Pen 3.0(ワイヤレス充電ケース付き)、カスタマイズ可能なフォームインサート入りガジェットケース(製品の外箱を再利用)が含まれています。特典としては、GoPro Premium+ 12ヶ月無料、Adobe Creative Cloud 3ヶ月メンバーシップ、Xbox Game Passが付属します。本体にはGoPro Playerを一発起動できるGoPro Hotkeyも搭載されています。
Ryzen AI MAX+ 395のベンチマーク性能
CPUベンチマークスコア比較
Ryzen AI MAX+ 395は、AMDのStrix Haloアーキテクチャを採用した最上位モバイルプロセッサです。Zen 5コアを16基搭載し、最大5.1GHz駆動。NotebookCheck、nanoreview.net、Geekbench Browserなどの公開データを参照すると、以下のようなスコアが報告されています。
| ベンチマーク | Ryzen AI MAX+ 395 (本機搭載) |
Ryzen AI 9 HX 370 (旧ProArt PX13) |
Apple M4 Max (16コア) |
|---|---|---|---|
| Cinebench 2024(Single) | 115 | 109 | 140 |
| Cinebench 2024(Multi) | 1,855 | 875 | 1,680 |
| Geekbench 6(Single) | 3,040 | 2,800 | 3,800 |
| Geekbench 6(Multi) | 22,125 | 13,500 | 22,600 |
| PassMark CPU(Multi) | 55,043 | 29,000 | 46,000 |
※スコアはnanoreview.net、NotebookCheck、Geekbench Browser、PassMarkの公開データを参照。環境や設定により変動します。
Cinebench 2024 マルチスコア比較グラフ
このスコアで具体的に何ができるのか
Cinebench 2024 Multiで1,855というスコアは、旧型ProArt PX13(Ryzen AI 9 HX 370)の約2倍にあたります。これは、16コアのZen 5アーキテクチャがフル稼働する恩恵で、Premiere Proでの4Kタイムライン書き出しやDaVinci Resolveでのカラーグレーディングがリアルタイムでサクサク処理できるレベルです。
GeekBench 6のマルチコアスコア約22,000は、デスクトップ向けのRyzen 9 9900Xに匹敵する水準。つまり、13.3インチのノートPCなのに、デスクトップのハイエンドCPUとほぼ同等のマルチタスク性能を持っていることになります。Blenderでの3Dレンダリングや、LLM(大規模言語モデル)のローカル実行など、通常ノートPCでは厳しいヘビーワークも現実的にこなせます。
ITmediaの実機レビューでも言及されているとおり、128GBメモリとVRAM最大96GB割り当てにより、Llama 3.1 70Bの8bit量子化版をローカルで動作させることが可能です。ローカルAIに興味がある方にとっては、これだけで購入理由になり得るスペックです。
内蔵GPU Radeon 8060Sのグラフィック性能
本機はディスクリートGPU(独立グラフィックカード)を搭載していません。その代わり、CPUに内蔵されたRadeon 8060S(RDNA 3.5アーキテクチャ、40CU)がグラフィック処理を担当します。「内蔵GPUで大丈夫なの?」と思うかもしれませんが、このRadeon 8060Sはこれまでの内蔵GPUとは別次元の性能です。
3DMark Time Spy グラフィックスコア比較
| GPU | Time Spy Graphics | 種別 |
|---|---|---|
| Radeon 8060S(本機) | 10,100〜12,500 | 内蔵GPU |
| GeForce RTX 4060 Laptop | 約10,400 | ディスクリート |
| GeForce RTX 4070 Laptop | 約12,500 | ディスクリート |
| Radeon 890M(Strix Point) | 約3,700 | 内蔵GPU |
※スコアはKitGuru、NotebookCheck、Tom’s Hardware等の報告値を参照。VRAM割り当てやTDPにより変動します。
3DMark Time Spy グラフィックスコア比較グラフ
つまり、RTX 4060 Laptopを超え、RTX 4070 Laptopに迫る性能を「内蔵GPU」で実現しているということです。The Shortcutのレビューでも、旧ProArt PX13のRTX 4050搭載モデルよりも全ての3DMarkテストで上回ったと報告されています。
ディスクリートGPUを排したことで、バッテリー駆動時間が大幅に改善しています。Engadgetの計測ではPCMark 10 Modern Officeで約11時間半、Tom’s Guideのレビューでも最大13時間のバッテリー持ちが確認されています。旧モデルではGPU搭載のため3〜4時間程度だったことを考えると、飛躍的な進化です。
ただし、レイトレーシング性能ではNVIDIAのRTXシリーズに劣る点は留意してください。RTをゴリゴリに使うゲームやコンテンツ制作がメインの場合は、RTX搭載モデルのほうが向いています。
128GBユニファイドメモリの価値
本機最大のセールスポイントは、やはりこの128GBメモリです。通常のProArt PX13 HN7306EA(64GB)との価格差は約15万円ですが、2026年現在のメモリ価格高騰を考えると、128GBのLPDDR5X-8000を単体で買おうとすれば20万円以上かかる計算。そう考えると、GoPro Editionの付属品・特典込みの価格差は「むしろお得」とすら言えます。
ユニファイドメモリ方式を採用しているため、CPU用メモリとGPU用VRAM(グラフィックスメモリ)を柔軟に配分できるのも大きな特徴です。デフォルトではCPU 64GB / GPU 64GBですが、MyASUSアプリからGPUに最大96GBまで割り当てが可能です。
具体的に128GBがどう活きるかというと——
■ 動画編集:Premiere ProとAfter Effectsを同時起動しつつ、Chromeのタブを数十枚開いても余裕。4K・8Kのマルチカム編集でもメモリ不足に陥ることはまずありません。
■ ローカルAI:VRAM 96GB割り当てで、Llama 3.1 70B(8bit量子化)やMixtral 8x22B(4bit)などの巨大LLMが動作。MacBook Pro以外でこれができるノートPCはほとんどありません。
■ 複数アプリ同時作業:Adobe系アプリを4〜5本同時に開きっぱなしにしても、メモリ起因の重さを感じることはないでしょう。
ディスプレイ・デザイン・堅牢性
3K OLEDディスプレイの色再現性
ディスプレイは13.3インチの3K(2,880×1,800)OLED。DCI-P3 100%カバー、Delta E < 1の出荷時キャリブレーション済みで、Pantone認証も取得しています。アスペクト比は16:10で、動画編集時にタイムラインの表示領域が確保しやすい比率です。
各レビューサイトの実測でも色域の広さは高く評価されていて、有機ELならではの深い黒とコントラストが映像編集で威力を発揮します。ただし、リフレッシュレートは60Hzにとどまる点と、輝度がピーク500nit程度である点は少し気になるところ。Gizmodoのレビューでは「屋内でも最大輝度にしないと快適に使えない」という指摘もあり、屋外での動画確認には好条件が必要かもしれません。
GoProらしいタフ設計とコンバーチブル仕様
MIL-STD 810Hの軍用規格テストをクリアしており、高温・低温・砂塵・湿度・振動・落下に対する耐性が確認されています。天板にはCNC彫刻によるGoProインスパイアのリッジラインが入っており、グリップ性を高めると同時にタフなデザインを演出しています。
360度回転ヒンジにより、ノートPC・テント・スタンド・タブレットの4モードに変形可能。タッチパネルとASUS Pen 3.0(4,096段階筆圧感知)に対応しているので、タブレットモードでレタッチやイラスト作業も快適にできます。
ユーザーレビュー・口コミ分析
海外の主要テックメディアのレビューと、日本国内のメディア・ユーザーの声を体系的に集約しました。発売から間もないため価格.comにはまだユーザーレビューが投稿されていませんが、メディアレビューは非常に豊富です。以下に評価傾向を整理します。
海外メディアの評価まとめ
| メディア | 評価 | 主なコメント |
|---|---|---|
| Engadget | 86/100 | Windows向けクリエイターノートとしてベスト |
| Tom’s Guide | 4/5 | 真のWindows版MacBook Proとの評価 |
| Gizmodo | — | GoPro連携は微妙だが128GBメモリの価値は高い |
| SlashGear | 9/10 | 8K 360映像もスムーズ。価格に見合う価値あり |
| The Shortcut | 4/5 | 内蔵GPUがRTX 4050を上回った |
| RedShark News | — | Apple Mシリーズ機と同等の編集体験 |
国内メディア・ユーザーの声
ITmedia PC USERの実機レビューでは、Llama 3を含む大規模LLMの動作検証が行われ、128GBメモリの実用性が高く評価されています。OneSuiteのレビューでは、雪山ロケでの実際の使用レポートが掲載されており、MIL規格の堅牢性が実地で証明されています。
Gizmodo Japanの記事では以下のような分析がされています。
「約65万円という価格はやや驚きですが、GoProブランドの付かないProArt PX13モデルは、RAMが64GBしかないにもかかわらず価格は50万円。そう考えると、このスペックで65万円は納得の価格と言えそうです」(Gizmodo Japan)
「DaVinci Resolveで20分の4K 60fps動画をエクスポートしたところ、わずか6分少々で完了。自宅のRTX 5070搭載デスクトップPCなら20〜30分かかる処理だ」(SlashGear)
「MacBook Proでずっとクリエイティブ作業をしてきた身として、このPCで数週間作業して、Apple以外にも選択肢があることを確信した」(Tom’s Guide)
評価傾向の整理:よかった点・気になった点
✓ 好評な点
・128GBメモリの圧倒的なマルチタスク性能とローカルAI活用のポテンシャル
・内蔵GPUなのにRTX 4060 Laptop超えの3D性能
・バッテリー持続時間の大幅改善(旧モデル比3倍以上)
・13.3インチ・約1.39kgのコンパクトさでデスクトップ級の処理能力
・MIL規格の堅牢性、GoProデザインの質感の高さ
・付属品が充実(ケース、ペン、GoPro Premium+特典など)
✗ 気になった点
・60Hzリフレッシュレート(高フレームレート動画を扱うGoProユーザーには物足りない)
・ディスプレイ輝度が500nit程度で、屋外作業にはやや厳しい場面も
・スピーカー音質がこもり気味(動画編集にはヘッドホン推奨)
・microSDスロットのみ(フルサイズSD非搭載)
・高負荷時のファン音がやや大きい
・GoPro Hotkeyの実用性は微妙(GoPro Playerの機能が限定的)
ASUS Store掲載モデルとの比較
ASUS公式ストアの製品ページには、関連モデルや「よく一緒に購入される商品」が掲載されています。ここでは、同ストアで取り扱われている他モデルとの性格の違いを整理します。
| モデル | 価格(税込) | 主な用途 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| ProArt GoPro Edition PX13 | 649,800円 | 動画編集・AI | 128GB RAM、GoPro特典、コンバーチブル |
| ROG XG Mobile GC34 | 249,800円 | GPU拡張 | 外付けGPU。PX13と組み合わせてGPU性能強化 |
| ROG Zephyrus G14 | 459,800円 | ゲーミング | ゲーム特化。ディスクリートGPU搭載 |
| ROG Flow Z13-KJP | 739,800円 | ゲーミング | 同じStrix Halo搭載の着脱式タブレット |
純粋なゲーミング性能ならROG Zephyrus G14やROG Flow Z13のほうが向いていますが、「動画編集・クリエイティブワーク × モバイル性 × 128GBメモリ」という組み合わせでは、ProArt GoPro Editionの右に出るモデルは現状存在しません。ROG XG Mobile GC34と組み合わせれば、外出先ではコンパクトに、自宅ではGPU性能を強化して使うという運用も可能です。
どんな人に向いているか?
▶ 買って満足できる人
・GoProやアクションカメラで撮影した4K〜8K映像を出先で編集したいクリエイター
・ローカルでLLMやStable Diffusionなどを走らせたいAIユーザー
・MacBook Proからの乗り換えを検討しているクリエイター
・1台で完結するモバイルワークステーションが欲しい人
▶ 別の選択肢を検討すべき人
・ゲームでレイトレーシング性能を重視する人(RTX搭載モデルが向いてます)
・大画面で作業したい人(13.3インチは外部モニター併用が前提になりがち)
・予算を抑えたい人(通常のProArt PX13 64GBモデルや他ブランドも検討を)
まとめ:65万円の価値はあるのか
正直なところ、649,800円という価格は万人向けではありません。でも、このPCのターゲットである「モバイルで本気のクリエイティブワークをしたい人」にとっては、現時点でWindows陣営最強のモバイルクリエイターPCと言い切れる完成度です。
128GBユニファイドメモリ、デスクトップ級のCPU性能、RTX 4060 Laptop超えの内蔵GPU、13時間のバッテリー、MIL規格の堅牢性——これらすべてが13.3インチ・約1.39kgのボディに収まっている。そう考えると、むしろ「これだけ入って65万円で済むのか」という見方もできます。
GoPro連携については、正直なところGoPro Hotkeyの実用性は限定的ですし、GoPro Quikアプリがデスクトップ非対応という制約もあります。しかし、それを差し引いても、128GBメモリモデルとしてのコストパフォーマンスと、GoProデザインの所有欲を満たすパッケージングは魅力的です。
ASUSの製品ラインナップや評判についてもっと詳しく知りたい方は、ASUSの特徴・評判まとめ記事もあわせてご覧ください。
